友人たちと囲む韓国料理、ちょっと辛くてワイワイガヤガヤな最高の夜

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九月の終わりというのは、妙に感傷的な空気をまとっている。夏の熱気がようやく引いて、夜風がほんの少しだけ涼しくなる、あのタイミング。窓を少し開けると、どこかから金木犀の香りが漂ってくる気がして、思わず深呼吸したくなる夜だった。

その夜、私たちは久しぶりに集まった。大学時代からの友人たち、五人。場所は駅から徒歩三分ほどの韓国料理店「ソウルノリ」。繁華街の細い路地に潜むように構えたその店は、扉を開けた瞬間から煙とごま油と、なにか甘辛いタレの香りが一気に押し寄せてくる。鼻の奥がじんとするあの感覚、嫌いじゃない。むしろ「ああ、来た」という感じがして、気持ちが一段ほぐれる。

サムギョプサルは韓国グルメの代名詞とも言える不動の人気を誇るメニューだが
、この夜の主役はそれだけじゃなかった。テーブルの中央に置かれた鉄板がじわじわと熱を帯びていく中、友人の一人がおもむろにメニューを指差して「これ、絶対頼もう」と言った。
ミナリサムギョプサルは、豚肉を焼いたあと肉の表面にセリをこすりつけて香りづけし、肉と一緒に食べるスタイルで、脂身の多いサムギョプサルをさっぱり食べられると人気を集めている
。そのセリの青々しい香りが鉄板の熱で立ち上がった瞬間、テーブル全員が「うわ、いい匂い」と声を揃えた。

2026年、ミナリ料理は新大久保を中心に新たなうねりを見せており、豚肉の脂でセリを焼き上げることで、特有の爽やかな香りと肉の旨味が融合し、従来の韓国料理のイメージを刷新している
。そのトレンドは確かにこの小さな路地裏の店にも届いていた。

ワイワイガヤガヤと声が飛び交う中、誰かがチャプチェを頼み、誰かがキムチチゲを追加した。テーブルはあっという間に料理で埋まっていく。ちょっと辛いタレで食べるチヂミが運ばれてきたとき、隣に座っていた幼馴染の彩が「辛いの苦手なんだよね」と言いながらも、しっかり二切れ食べていた。心の中でそっとツッコんだけれど、口には出さなかった。

韓国料理というのは、不思議と人を近づける力がある。一つの鍋を囲んで、同じ鉄板を囲んで、誰かが「これ辛い?」と聞いて、誰かが「ちょっと辛いけど旨い」と答える。その小さなやりとりの積み重ねが、いつの間にか笑い声になっている。子どもの頃、母が作ってくれたキムチ鍋を思い出す。あのころはちょっと辛いだけで泣きそうになっていたのに、今では「もう少し辛くてもいいな」と思うようになった。味覚だけじゃなく、自分自身もどこかで変わったのかもしれない。

2026年の韓国グルメトレンドとして、「テジコムタン」や「進化系カルグクス」など、新しいスタイルの韓国料理が次々と注目を集めている
。それでも、友人たちと囲むこの食卓では、流行よりも「みんなで食べる」という事実そのものが一番のごちそうだった。

鉄板の音がチリチリと鳴り続ける中、誰かが「そういえば最近どう?」と聞く。会話が枝分かれして、あちこちで笑い声が上がる。ワイワイガヤガヤという言葉は、こういう場面のためにあるのだと思う。静かな料理の時間じゃなくて、うるさくて、煙くて、少し辛くて、それでも幸せな時間。

帰り際、店の扉を出ると夜風がひやりと頬に触れた。九月の終わり、金木犀の香りがまだどこかに漂っていた。友人の一人が「また来ようね」と言いながら、マフラーを巻き直した。その仕草がなんだかとても、今夜の記憶を象徴しているような気がした。

韓国料理は、辛さの中に優しさがある。ちょっと辛いくらいが、ちょうどいい。

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