韓国料理でワイワイガヤガヤ!ちょっと辛いのがたまらない、あの夜の食卓

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六月の初め、夕暮れどきの空がまだ少しだけオレンジ色を残している時間に、友人たちが次々と部屋に集まってきた。玄関を開けるたびに、外の湿った夜風と一緒に笑い声が飛び込んでくる。誰かが「腹ペコ〜!」と叫びながらソファに倒れ込み、誰かはスマホを片手にキッチンを覗いてくる。今夜は韓国料理でいこう、と決めていた。

テーブルの上には、コチュジャンの小瓶、ごま油、キムチの入ったパックが並んでいた。ごま油の香りが部屋にじわりと広がって、それだけでもう気分が上がる。子どもの頃、母がチヂミを焼いてくれるたびに台所がこの香りで満ちていたことを、ふと思い出した。あのころは辛いものが苦手で、キムチだけよけて食べていたのに、今では真っ先に手が伸びる。人の舌というのは、ちゃんと育つものらしい。

韓国カルチャーはもはや一過性のブームを超えて、日本の食文化に深く根付いている。
そのことを改めて実感したのは、友人のユイが「最近ハマってる」と言いながら取り出したパッケージを見たときだ。進化系カルグクス——手打ち麺をベースにした、
伝統的なクッパを現代風にアレンジした「ニューウェーブ」系の料理
が、今やSNSでも話題だという。「これ、スープが濃くて最高なんだよ」とユイは言いながら鍋に麺を投入し、湯気の向こうで得意げな顔をしていた。

サムギョプサルを焼く音が鳴り始めると、部屋の空気が一気に変わった。じゅうじゅうという音、肉の脂が落ちる音、誰かが「焦げてる焦げてる!」と叫ぶ声。ワイワイガヤガヤと、もはや会話の内容など聞き取れないほどの熱量になっていく。厚切りの豚肉がきつね色に焼けたところで、サンチュに包んで頬張る。ちょっと辛いヤンニョムをつけると、口の中に甘みと辛みが同時に広がって、思わず目が細くなった。

そのとき、友人のケンジが「これ、辛さ何段階?」と聞きながらコチュジャンをたっぷりつけ、一口食べた瞬間に無言で水を取りに立ち上がった。誰も何も言わなかったけれど、全員の視線が静かにそちらへ向いた。ちょっと辛い、どころではなかったらしい。

韓国料理の根底にある「五味五色」の哲学——甘味、酸味、塩味、苦味、辛味のバランスと、食材の色彩を大切にする心は、世代を超えて受け継がれている。
そのことを、こうして友人たちと食卓を囲むたびに体で感じる。辛さはただの刺激ではなく、料理全体のリズムのひとつなのだ。

夜が深まるにつれて、テーブルの上はどんどん賑やかになっていった。架空のインテリアショップ「ソリンハウス」で買ったという木製のトレイの上に、キムチチゲの鍋、チヂミ、キンパが並ぶ。
コムタンやミヨックッなど、韓国料理の基本である汁物を洗練させたスープ料理が近年注目されている
という話をすると、「じゃあ次回はコムタンにしよう」と誰かが言い、また次の約束が生まれた。

蛍光灯の黄色い光の下で、みんなの顔が汗ばんでいた。辛さで頬が赤くなっていた。それでも誰も箸を止めない。韓国料理のすごさは、こういうところにあると思う。ちょっと辛いくらいがちょうどよくて、辛いから飲み物が進んで、飲み物が進むから会話も増えて、気づいたら深夜になっている。

食べ終わった後、ユイが淹れてくれたほうじ茶を両手で包みながら、ふと窓の外を見た。六月の夜風が網戸を揺らしていた。今夜もまた、韓国料理がこの場所を少しだけ特別にしてくれた気がした。来月もきっと、みんなでワイワイガヤガヤやるのだろう。そしてまた、誰かがちょっと辛いものを食べすぎて、こっそり水を取りに行くのだろう。それでいい。それがいい。

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