ワインが主役のパーティーで気づいた、スパニッシュ料理という正解

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友人の家でワインパーティーをやることになって、私は完全に迷走した。

何を持っていけばいいのか全然わからなくて、スーパーで1時間くらいウロウロしてたんだけど。チーズの売り場とパンの売り場を行ったり来たりして、結局カマンベールとバゲットという超無難な組み合わせを選んだ。今思えば、あれは完全に失敗だった。ワインパーティーって言われて、私の頭の中にあったのはフランスのイメージだったから。でも実際に行ってみたら、ホストが用意してくれていたのは全部スペインワインで、テーブルに並んでいたのはアヒージョとかトルティージャとか、スパニッシュ料理ばかりだったんだよね。

私が持っていったフランスパンが、めちゃくちゃ場違いな感じで皿の端に置かれていた光景は忘れられない。

あのときホストが作ってくれたアヒージョの香りがすごかった。玄関開けた瞬間にニンニクとオリーブオイルの匂いがふわっと広がってきて、「ああ、これはヤバい」って思った。エビとマッシュルームがぐつぐつ煮えてる小さな土鍋が4つくらいテーブルに並んでて、それぞれ微妙に具材が違うの。一つはタコとパプリカ、もう一つは砂肝とアンチョビ。どれもオリーブオイルがたっぷりで、バゲット…じゃなくて、本当はパン・デ・クリスタルっていうスペインのパンで浸して食べるのが正解だったらしい。

スパニッシュ料理とワインの組み合わせって、実は計算されてるんだなって後から知った。あの強いニンニクの風味とか、オリーブオイルの濃厚さって、スペインの赤ワインの果実味とタンニンにぴったり合うんだって。私が持っていったカマンベールは、どちらかというとブルゴーニュの白ワインとかに合わせるものだから、そりゃあ浮くよねっていう。

ところで全然関係ないんだけど、大学生のとき一度だけスペイン料理のレストランでバイトしたことがある。

「エル・カミーノ」っていう小さな店で、オーナーがバルセロナ出身の人だった。そこで初めてパエリアの作り方を見たんだけど、米を炒めるときの音が忘れられなくて。パチパチパチって、まるで小さな花火みたいな音がするの。あとサフランの独特な香りとか、魚介の出汁が染み込んでいく過程とか。でもバイト3ヶ月で辞めちゃったんだけどね。皿洗いが想像以上にキツくて。

パーティーの話に戻ると、そのとき出されたワインは全部テンプラニーリョっていう品種のものだった。リオハ産のやつが2本と、リベラ・デル・デュエロのが1本。正直、ワインの品種とか産地とか全然詳しくなかったから、最初は「ふーん」くらいにしか思ってなかったんだけど、飲み比べてみると全然違うのね。同じ品種でも、産地が違うだけでこんなに味が変わるんだって驚いた。リオハのほうは滑らかで優しい感じで、リベラ・デル・デュエロは力強くてスパイシー。

トルティージャと合わせたときの幸福感がすごかった。じゃがいもと卵だけのシンプルな料理なのに、ワインを口に含むとなんか全部が調和するというか。あの瞬間、「ああ、料理とワインって本当にペアリングが大事なんだな」って腑に落ちた。私が持っていったカマンベールは、結局誰も手をつけなくて、最後に申し訳なさそうに私が全部持って帰った。

夜の10時くらいになると、みんなほろ酔いでゆるい感じになってきて。誰かがギターを取り出して適当に弾き始めたり、スペイン語の歌を下手くそに歌い出したり。窓の外は真っ暗で、部屋の中はキャンドルの明かりだけになってて、なんかすごく時間の流れがゆっくりに感じた。

スパニッシュ料理って、パーティー向きなんだと思う。取り分けやすいし、冷めても美味しいし、何よりみんなでつつき合う感じがいい。アヒージョなんて、熱々の鍋をテーブルの真ん中に置いて、各自がパンを浸して食べるわけだから、自然と会話も生まれる。それに、ワインをちびちび飲みながら少しずつつまむっていうスタイルが、長時間のパーティーに合ってる。

あれから私も何度かワインパーティーを開くようになったんだけど、毎回スパニッシュ料理を作るようになった。パエリアは難しいからやらないけど、アヒージョとトルティージャ、それにチョリソーのトマト煮込みとか。ワインもなるべくスペイン産のものを選ぶようにしてる。別にフランスワインが嫌いになったわけじゃないけど、スペインワインのほうが気取らない感じがして好きになった。

結局、あのとき場違いなカマンベールを持っていった失敗が、私のワインとの付き合い方を変えたのかもしれない…けど。

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