
正直に言うと、キャンプ料理って最初は全然うまくいかなかった。
長男が小学校に入る前の春だったかな。初めて家族でキャンプに行ったとき、張り切ってバーベキューセットを買い込んで、レシピサイトも見まくって準備したんだけど、現地で火をおこすのに1時間かかって、子どもたちはお腹空いたって泣くし、妻は無言でスマホいじってるし。ようやく焼けた肉は外が真っ黒で中は生焼け。あのときの惨めさったらなかったよね。
火おこしに必死になりすぎて、クーラーボックスに入れてた食材の配置とか、調理の順番とか、そういう基本的なことを全部すっ飛ばしてた。着火剤に火をつけることばっかり考えて、炭の組み方も知らなかったし、風向きも気にしてなかった。煙が目に染みて涙ボロボロ流しながら、「キャンプって楽しいんだよね?」って自問自答してたもん。
でもさ、三回目くらいのキャンプで気づいたことがある。料理の出来栄えより、みんなで火を囲んでる時間そのものが面白いんだって。長女が「パパ、煙すごいね」って笑ってて、長男は炭をじっと見つめて「赤いの動いてる」とか言ってて。妻も最初は呆れてたけど、だんだん火吹き棒を持って参戦してきたりして。
そういえば去年の夏、隣のサイトでめちゃくちゃ手際よくダッチオーブン使いこなしてる家族がいてさ。ローストチキンとか焼いてて、いい匂いが漂ってくるわけ。うちはその横でレトルトカレー温めてたんだけど、子どもたちは「このカレー最高!」って言ってくれた。標高が高い場所だったから夜は冷え込んで、温かいものが本当に美味しく感じたんだよね。
僕が今よく作るのは、ホイル焼き。鮭でもいいし、鶏肉でもいい。野菜と一緒にアルミホイルで包んで、炭火の上に置いとくだけ。失敗しようがないし、開けるときのワクワク感がいい。長男がこの前「宝箱みたい」って言ってたけど、確かにそんな感じ。中から湯気が立ち上って、バターの匂いがふわっと広がる瞬間。
料理の工程を子どもに任せるようになってから、さらに面白くなった気がする。野菜を切るのも、調味料を混ぜるのも、全部一緒にやる。包丁の使い方を教えながら、「そんな切り方したらケガするよ」ってハラハラしたり。長女は最近、自分で考えたオリジナルのタレを作りたがるんだけど、醤油とマヨネーズと焼肉のタレを混ぜただけのやつ。でも「パパこれ美味しいよ」って自信満々で出してくるから、一応味見する。うん、まあ…悪くはない。
家で料理するときと違って、キャンプだと時間の感覚が曖昧になる。夕方5時くらいから準備を始めて、食べ終わるのが8時過ぎとか普通にある。その間ずっと、火の前でなんとなく過ごしてる。子どもたちは焼きマシュマロ作りに夢中になったり、妻とコーヒー飲みながら話したり。
キャンプ用の調理器具って、正直そんなに高いの揃えなくてもいいと思う。うちが使ってるフライパンなんて、ホームセンターで買った安物だし。スキレットは見た目がかっこいいから一つ持ってるけど、重くて洗うの面倒だから最近使ってない。むしろ使い捨てのアルミ皿とか、紙皿とか、そういうのを活用した方が後片付けが楽で、疲れないんだよね。
朝ごはんはだいたいホットサンドかトースト。炭火で焼くパンって、なんであんなに美味しく感じるんだろう。焦げ目がついて、バターが染み込んで、外はカリッと中はふわっと。コーヒーを淹れる音とか、鳥の声とか、テントのファスナーの音とか、朝のキャンプ場って独特の空気感がある。
失敗したことなら山ほどある。カレーを焦がしたこともあるし、ご飯が芯まで炊けてなかったこともある。肉を焼きすぎて硬くなったのは何度もあるし、この前なんてクーラーボックスの蓋を開けっ放しにして、保冷剤が全部溶けてた。でもそういうのも含めて、キャンプなんだと思う。完璧を目指さない感じ。
うちの妻が最近ハマってるのは、スープ系。大きな鍋に野菜とウインナーとかベーコンとか入れて、コンソメで煮込むだけ。簡単だし、体が温まるし、余ったら翌朝も食べられる。前回のキャンプでは、トマト缶を入れてミネストローネっぽくしてた。パンを浸して食べると最高なんだよね。
料理を通して、子どもたちが少しずつ成長してるのを感じる。火の扱い方を覚えたり、包丁が上手になったり。長男はこの前、自分で目玉焼きを焼いてた。黄身が崩れてグチャグチャになってたけど、本人はすごく誇らしげだった。
キャンプ料理に正解なんてないと思う。凝ったものを作る人もいれば、僕らみたいに適当にやってる人もいる。大事なのは、その時間を楽しめるかどうか。煙たくて目が痛くても、ちょっと焦げても、それはそれで思い出になるし。
次のキャンプでは何作ろうかな。まだ決めてないけど。

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