
家族でキャンプに行くと決まったとき、真っ先に頭を悩ませるのが料理のことだった。
テントや寝袋の準備も大事だけど、正直なところ食事が一番のプレッシャーになる。特に子どもがいると「お腹すいた」の連呼が始まる前に何とかしなきゃいけないし、妻の「簡単でいいよ」という言葉ほど信用できないものはないと知っている。去年の夏、僕は意気込んで凝った料理に挑戦して、結果的に夕暮れまで火とにらめっこする羽目になった。あのときの子どもたちの冷たい視線は今でも忘れられない。
キャンプ料理の最大の敵は「時間の読めなさ」だと思う。家のキッチンなら15分で作れるものが、屋外だと平気で1時間かかったりする。炭火の火力調整なんて、慣れてないと本当に難しい。強火にしたいのに全然熱くならなくて、諦めて別の作業してたら急に燃え上がって焦げる、みたいな。僕はダッチオーブンでローストチキンを作ろうとして、中まで火が通るのに2時間以上かかった経験がある。その間ずっと、子どもたちはお菓子でしのいでいた。
準備段階での下ごしらえが全てを決めると言っても過言じゃない。家で野菜を切っておく、肉に下味をつけておく、調味料を小分けにしておく。これだけで現地での作業量が驚くほど減る。ジップロックに材料と調味料を全部入れて、現地では焼くだけ、煮るだけの状態にしておくと本当に楽。僕が最近気に入っているのは、カレーの材料を全部カットして冷凍しておく方法。現地で鍋に放り込んで煮込むだけで、それなりに本格的なキャンプカレーができあがる。
そういえば、この前スーパーで「キャンプマスター印」っていう謎のブランドの調味料セットを見つけて買ってみたんだけど、あれは正直微妙だった。何が入ってるのかよくわからない粉末で、使ってみたら妙に甘ったるい味になった。結局普通の塩コショウとか、家にある調味料を持っていくのが一番確実。
火起こしについては、もう最初から着火剤に頼ることにしている。「男なら火起こしくらい」みたいなプライドは3回目のキャンプで捨てた。着火剤使えば10分で安定した火が得られるのに、新聞紙と小枝で30分格闘する意味がわからない。時間は有限だし、その分子どもと遊んだ方がよっぽど有意義。
メニュー選びで意識しているのは「失敗してもリカバリーできるか」という点。例えば焼きそばなら、多少焦げても食べられるし、味が薄ければソースを足せばいい。逆にパエリアみたいな米料理は、火加減を間違えると芯が残ったり焦げたりして取り返しがつかなくなる。朝食はホットサンドメーカーで挟んで焼くだけのものにすると、子どもたちも喜ぶし準備も片付けも簡単。
実は一番重要なのは「完璧を目指さないこと」かもしれない。キャンプ料理って、多少焦げてても、見た目がイマイチでも、外で食べるだけで美味しく感じるものだから。むしろ失敗談の方が後々いい思い出になったりする。去年の焦げたソーセージとか、今では家族の笑い話になってる。
道具に関しては、最初から高価なものを揃える必要はないと思う。僕が使ってるのはホームセンターで買った2000円くらいのクッカーセットだけど、十分機能してる。ただ、包丁だけはちゃんとしたものを持っていった方がいい。切れない包丁でトマトと格闘するのは、想像以上にストレスがたまる。
夜になって、ランタンの明かりの中で食べる料理は格別だった。虫の音が聞こえて、少し冷たい風が吹いて、炭火の匂いがまだ残ってる。子どもたちは疲れてるのか珍しく静かに食べていて、妻も満足そうな顔をしている。そういう瞬間のために、僕はまた次のキャンプでも料理担当をやるんだろうな、きっと。

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