春の柔らかな陽射しが差し込む週末、私たち家族は待ちに待ったキャンプに出発しました。妻と小学生の娘、そして幼稚園児の息子との4人旅。実は私、キャンプ初心者なのですが、最近SNSで見かける素敵なキャンプ料理の写真に触発され、思い切って家族でキャンプに挑戦することにしたのです。
車に荷物を積み込む時から、子どもたちは興奮気味。特に息子は「パパ、おいしいご飯作ってね！」と何度も言ってきて、プレッシャーを感じながらも、その期待に応えたいという気持ちでいっぱいでした。
キャンプ場に到着すると、まず設営から。テントを立てるのに手こずっていると、近くのサイトのベテランキャンパーが声をかけてくれました。「最初は誰でも苦労するんですよ。でも料理が美味しければ、それだけで充分です！」その言葉に勇気づけられ、設営を終えると早速料理の準備にとりかかりました。
事前に計画していた夕食のメニューは、ダッチオーブンで作るローストチキンと野菜のグリル。家では普段料理をしない私ですが、このために動画で勉強して、下準備はばっちりのはず。妻が横で見守る中、まずは火起こしから。
薪に火をつけるのに少し時間がかかりましたが、炎が安定してきた頃、子どもたちが近くで拾ってきた松ぼっくりを投げ入れると、パチパチという心地よい音と共に、良い香りが立ち込めてきました。その瞬間、キャンプならではの特別な空気が流れ始めたのを感じました。
ダッチオーブンにマリネしておいたチキンと野菜を入れ、蓋をして炭火にかけます。待っている間、娘は薪を集めてきてくれたり、息子は小さな枝で火をかき混ぜたりと、家族それぞれが自分なりにキャンプ料理に参加していました。
1時間ほど経過し、蓋を開けた瞬間の香ばしい香り。チキンはこんがりと焼け、野菜は程よく火が通っていました。「わぁ！すごい！」という子どもたちの歓声に、思わず胸が熱くなります。
食事の準備をしている間にも、辺りは徐々に夕暮れに包まれていきました。ランタンの明かりの中、テーブルを囲んで食事を始めると、普段の食卓とは全く違う雰囲気。自然の中で、家族で作り上げた一つの料理を分け合って食べる。それは想像以上に特別な時間でした。
「パパの料理、めっちゃ美味しい！」という娘の言葉に、妻も「本当に上手くできたわね」と笑顔で同意してくれました。息子は無言で夢中になって食べていて、それが何よりの褒め言葉でした。
食事の後は、焚き火を囲んでマシュマロを焼きました。火加減が難しく、最初は真っ黒に焦がしてしまいましたが、コツを掴むと外はカリッと、中はトロッとした完璧な焼き加減に。子どもたちは「もう一個！」と目を輝かせながら、次々とマシュマロを焼いていきました。
夜が更けていく中、焚き火を囲んで星空を見上げながら、家族でいろんな話をしました。学校であった出来事、将来の夢、そして次はどんなキャンプ料理に挑戦しようか。普段の忙しい日常では、なかなかこんなゆっくりと話す時間は持てません。
翌朝、朝もやの中で目覚めると、テントの外からコーヒーの香りが。妻が早起きして、ダッチオーブンでダッチベイビー（パンケーキ）を作ってくれていました。フライパンで作る時とは違い、外はカリッと、中はしっとりとした食感。メープルシロップをかけて、朝露に濡れた草原を見ながらの朝食は格別でした。
帰り支度をしながら、息子が「次はいつ来れる？」と聞いてきました。娘も「今度は私もお料理手伝いたい！」と目を輝かせています。妻は「次は季節の食材を使って料理してみましょう」と、既に次回の計画を立て始めていました。
キャンプ場を後にする時、私は心の中で誓いました。このキャンプでの料理体験を一回限りのものにはしない。これからも家族で自然の中での料理を楽しみ、思い出を作っていこうと。
家に帰ってからも、キャンプでの思い出話は尽きません。娘は学校で友達に自慢げに話し、息子は保育園で描いた絵にも大きな焚き火とお肉を描いていました。妻は早速、次回のキャンプに向けてレシピを探し始めています。
初めは不安だったキャンプ料理でしたが、結果的に家族の絆を深める最高の機会となりました。料理を通じて、家族全員で一つのことを作り上げる喜び、自然の中で過ごす贅沢な時間、そして何より、みんなで同じ経験を共有できる幸せ。これこそが、私が求めていた家族との時間だったのだと気づきました。
次回のキャンプでは、今度は家族全員で料理に挑戦しようと計画しています。失敗を恐れず、むしろその失敗も含めて、かけがえのない思い出になることでしょう。キャンプ料理は、私たち家族にとって新しい冒険の始まりとなったのです。
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