
去年の夏、次男が飯盒を焚き火に突っ込んだまま忘れて、ご飯が真っ黒になった。
あの日は朝から妙に蒸し暑くて、テントを張り終えた時点でもうみんな汗だくだった。キャンプ場に着いたのは午前10時ごろ。設営が終わって昼ごはんをどうするか相談していたら、長女が「カレー作りたい」って言い出したんだけど、私は内心「えー、今から?」って思ってた。だって食材の買い出しもまだだったし、そもそも火を起こすのも面倒で。
結局近くのスーパーまで車で20分かけて行って、カレールーと野菜と肉を買い込んだ。長女はなぜか「本格的なやつがいい」とか言い出して、スパイスコーナーでクミンとかコリアンダーとか見てたけど、私が「そんなの使いこなせないから」って却下した。
火起こしは夫の担当なんだけど、この人が毎回やたら時間かかるんだよね。着火剤を使えばいいのに、なぜか新聞紙と小枝だけでやろうとする。「キャンプってこうだろ」みたいな謎のこだわりがあるらしい。私と子どもたちは日陰で待ちながら、持ってきたお菓子をつまんでた。次男なんて「もうカップラーメンでよくない?」とか言い出す始末。
ようやく火が安定してきて、調理開始。長女が玉ねぎを切り始めたんだけど、キャンプ用の小さいまな板だと切りにくいのか、やたら時間がかかってる。次男は肉を一口大に切る係だったんだけど、大きさがバラバラすぎて笑った。「料理って難しいね」とか言いながら、明らかに飽きてきてる様子。
そういえば三年前、初めて家族でキャンプに行ったときは、朝食のホットサンドを作ろうとして、ホットサンドメーカーを家に忘れたことがあった。あのときは近くのコンビニでパンとハムとチーズを買って、フライパンで焼いただけのやつを食べた。それはそれで美味しかったけど、長女が「これホットサンドじゃないじゃん」ってずっと不機嫌だったな…。
野菜を炒め始めると、煙と一緒にいい匂いが広がってきた。玉ねぎが焦げる匂いと、肉の脂が滴る音。隣のサイトから「いいにおいですね」って声をかけられて、ちょっと誇らしい気分になった。水を入れて煮込んでる間、私たちは川まで散歩に行った。足を水につけたら冷たくて気持ちよくて、次男が「ずっとここにいたい」って言ってた。
戻ってきたらカレーがいい感じに煮えてて、ルーを溶かして完成。ご飯は…さっき書いた通り、次男が焚き火の管理を任されてたのに、川遊びに夢中になって忘れてた。蓋を開けたら真っ黒。夫が「お前、ひとつ仕事あったよな?」って呆れ顔で言ったけど、次男は「ごめん」って笑ってた。
仕方ないから、近くの売店でレトルトのご飯を買ってきた。一パック280円。四人分で1120円。まあ、こういうこともある。
カレーは意外とちゃんと美味しくできてた。長女が「私が作ったからね」って得意げで、次男が「俺も肉切った」って言い返して、いつもの感じ。焦げたご飯は記念に写真だけ撮って、あとで炭と一緒に処分した。
夜になって焚き火を囲んでると、長女が「次はピザ作りたい」って言い出した。夫は「ピザ窯なんてないぞ」って返したけど、私は「ダンボールとアルミホイルで作れるらしいよ」って言ったら、次男が「それ見たい!」って食いついてきた。
料理って、キャンプだと普段の三倍くらい時間がかかる。火加減も思い通りにならないし、道具も限られてる。でも、なんだろう、その不便さが逆に楽しいのかもしれない。
家に帰ってから、次男が学校の作文に「キャンプでご飯を焦がした話」を書いてた。先生からは「失敗も大切な経験ですね」ってコメントがついてたけど、本人は「恥ずかしい」って言いながらもまんざらでもなさそうだった。
来月もキャンプの予約入れてる。今度は何を焦がすんだろうね。

コメント