友達が持ち寄った料理で台無しになったパーティの話

Uncategorized

ALT

去年の秋、うちでパーティをやったんだけど。

友達を7人くらい呼んで、みんなで料理を持ち寄ろうってことになった。私はイタリアンが得意だから、前日からトマトソースを仕込んで、当日の朝からパスタを茹でて、それなりに気合を入れて準備してたわけ。冷蔵庫の中にはバジルとモッツァレラチーズが並んでて、キッチンにはにんにくとオリーブオイルの匂いが充満してた。窓を開けたら肌寒い風が入ってきて、ああもう秋なんだなって思いながら、エプロンつけて皿を並べてた。

ところが蓋を開けてみたら、持ち寄られた料理がことごとくイタリアンだった。トマト系が5品。全員がなぜかカプレーゼを作ってきて、テーブルの上がトマトとチーズだらけになった光景は今でも忘れられない。誰も事前に相談しなかったのが悪いんだけど、みんな「パーティといえばイタリアンでしょ」って同じこと考えてたらしい。笑うしかなかった。

で、唯一違う料理を持ってきたのが田中で、彼が持参したのは謎の炊き込みご飯だった。「母親が作ったやつ」って言ってたけど、具材が栗とサツマイモと銀杏で、完全に和風。テーブルの上でひとり異彩を放ってた。でもこれが意外とトマトソースに合うんだよね。誰かが「リゾット風にしよう」とか言い出して、私のパスタソースをぶっかけて食べ始めた。家族で食べる夕飯じゃないんだからさ、もうちょっと考えてきてほしかったけど。

そういえば高校生の頃、文化祭の打ち上げで似たようなことがあった。クラス全員が焼きそばを作ってきて、教室が焼きそば屋台みたいになったやつ。あれも誰も相談しなかった結果なんだけど、人間って学習しないもんだなって思う。

パーティが始まって1時間くらいしたら、みんなトマトに飽きてきた。そりゃそうだよね。カプレーゼを5種類食べ比べても、正直違いなんてわからない。「このモッツァレラは〇〇産で」とか誰かが語り始めたけど、もう誰も聞いてなかった。リビングの照明を少し落として、キャンドルとか置いてみたんだけど、トマトの赤がやたら強調されるだけで、なんか事件現場みたいになった。

結局、近くのコンビニに走って唐揚げとポテトを買ってきたのが一番人気だった。みんな「やっぱこれだよね」とか言いながらむさぼり食ってて、私が朝から仕込んだパスタは半分以上残った。冷蔵庫に入れて翌日温め直して食べたけど、麺が伸びきっててまずかった。

友達の一人が「次は事前にLINEで確認しようね」って提案したけど、それから一度もパーティやってない。

準備って難しいよね。気合入れすぎると空回りするし、適当にやると物足りないし。ちょうどいいバランスなんて、結局やってみないとわからない。あの日、田中の母親が作った炊き込みご飯だけが妙に記憶に残ってる。栗が大きくて、噛むとほくほくしてて、秋の夜の冷たい空気とよく合ってた。トマトまみれのテーブルの端っこで、ひっそりと存在してた銀色の鍋。

次にパーティするなら、もう料理なんて作らないで全部出前にするかもしれない。それか、いっそのこと「トマト禁止」ってルールを作るか。

コメント

タイトルとURLをコピーしました