
週末の朝、私たち家族は久しぶりのキャンプに向けて車を走らせていました。助手席では妻が持参する食材のリストを確認し、後部座席では子供たちが「今日は何を作るの?」と興奮気味に話し合っています。キャンプ場での料理は、日常では味わえない特別な体験になるんです。
キャンプ場に到着すると、まず設営作業から始めました。テントを立て、タープを張り、調理スペースを確保します。長男は薪を集め、次男は水を汲みに行きました。娘は母と一緒にテーブルセッティングを担当。家族それぞれが役割を持って動くことで、自然とチームワークが生まれていきます。
今回のメインディッシュは、ダッチオーブンで作るローストチキン。前日から特製ハーブマリネードに漬け込んでおいた鶏肉を、じっくりと火を通していきます。薪の火加減を調整しながら、時折蓋を開けて様子を確認する度に、香ばしい香りが漂ってきます。子供たちは「早く食べたい!」と目を輝かせながら、焼き上がりを待ちわびています。
サイドメニューは、炭火で焼く季節の野菜グリル。カラフルなパプリカ、ズッキーニ、なす、アスパラガスなどを、オリーブオイルとハーブで味付けして焼きます。野菜嫌いな次男も、キャンプ場で焼いた野菜なら不思議と食べられるんです。「外で食べるとなんでも美味しいね!」という言葉に、家族みんなが頷きます。
デザートは、キャンプの定番であるダッチオーブンでのアップルコブラー。りんごとシナモンの甘い香りが漂い始めると、周りのキャンパーからも「いい匂いですね」と声をかけられました。キャンプ場での料理は、知らない人との会話のきっかけにもなります。
夕暮れ時、テーブルを囲んで食事が始まりました。ダッチオーブンから取り出されたローストチキンは、皮はパリッと、中はジューシーな仕上がり。野菜グリルの彩りも鮮やかで、まるでレストランのような雰囲気です。家族で「いただきます!」と声を合わせると、自然と笑顔がこぼれます。
食事の後は、焚き火を囲んでマシュマロを焼きながら、今日一日の出来事を振り返ります。長男は薪集めで見つけた大きなカブトムシの話を、娘は近くで出会った同い年の女の子との約束を、次男は川遊びでの冒険を、それぞれ嬉しそうに話してくれました。
キャンプでの料理は、単なる食事作りを超えた体験です。火おこしから始まり、材料の準備、調理、そして片付けまで、すべてが家族で協力して行う作業になります。その過程で、子供たちは自然と生きる力を学び、家族の絆も深まっていきます。
夜が更けていく中、テントの中で横になりながら、妻が「また来ようね」とつぶやきました。子供たちも「次は何を作ろうか」と、既に次回の料理プランを立て始めています。星空の下での料理は、確かに手間がかかります。でも、その分だけ特別な思い出になるんです。
翌朝は朝もやの中での朝食作り。カセットコンロでホットサンドを焼き、たっぷりの野菜スープを作ります。朝露に濡れた草木の香り、鳥のさえずり、そして炊事場から聞こえる他の家族の賑やかな声。すべてが日常とは違う特別な朝の風景です。
帰り支度をしながら、娘が「お家でもキャンプみたいな料理がしたい」と言い出しました。確かにキャンプでの料理は特別ですが、その楽しさは家でも再現できるはず。週末のベランダでバーベキューをしたり、リビングでダッチオーブン料理に挑戦したり。キャンプで得た経験を、日常の食卓にも活かしていけたらと思います。
キャンプ場を後にする時、バックミラーに映る家族の満足気な表情を見て、また新しい思い出が作れたことを実感しました。自然の中での料理は、時に予期せぬ困難に直面することもあります。でも、それを家族で乗り越えていくことで、より深い絆が生まれるのです。
季節が変われば、作れる料理も変わります。夏は手軽な炭火焼き、秋は具だくさんの煮込み料理、冬は熱々の鍋物。そして春は新鮮な山菜を使った料理など、自然の恵みを存分に味わうことができます。これからも、季節ごとの料理を楽しみながら、家族でキャンプを続けていきたいと思います。
キャンプ場での料理は、私たち家族にとって単なる食事以上の意味を持っています。それは思い出であり、学びであり、そして何より、かけがえのない家族の時間なのです。次は、どんな料理で家族を笑顔にできるだろうか。そんなことを考えながら、私たちの帰路は続いていきました。


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