週末の午後、我が家のキッチンは賑やかな笑い声と食材を切る音で溢れていました。今日は月に一度の恒例行事、家族総出でのイタリアン料理パーティーの日です。子どもたちは早朝から興奮気味で、「今日は何を作るの?」と何度も聞いてきました。
実は、このイタリアン料理パーティーを始めたのには理由があります。共働きの私たち夫婦は、平日なかなか家族と一緒にゆっくりと食事を楽しむ時間が取れませんでした。そんな中、小学生の娘が「みんなでお料理したい!」と言い出したのがきっかけです。イタリアンを選んだのは、ピザやパスタなど、子どもたちが大好きなメニューが多いからです。
今日のメインメニューは、手作りピザとジェノベーゼパスタ。さらに、季節の野菜をたっぷり使ったカプレーゼサラダも作ることにしました。買い出しは朝一番で済ませ、新鮮な食材が調理台に並んでいます。
まずは、ピザ生地作りから。小麦粉、イースト、塩、オリーブオイルを混ぜ合わせ、温かい水を加えていきます。子どもたちは交代で生地をこねるのを手伝ってくれます。「お父さん、こんな感じ?」と息子が真剣な表情で生地をこねる姿に、思わず笑みがこぼれます。生地は30分ほど発酵させる必要があるので、その間にソースと具材の準備に取り掛かります。
トマトソースは市販のものではなく、完熟トマトを使って手作りします。玉ねぎとニンニクをみじん切りにして炒め、香りが立ってきたらトマトを加えて煮込みます。バジルの香りが台所中に広がり、子どもたちは「いい匂い!」と目を輝かせています。
ジェノベーゼパスタのソースは、新鮮なバジルの葉、松の実、ニンニク、パルメザンチーズ、オリーブオイルをフードプロセッサーで撹拌して作ります。娘が「緑色のソース面白い!」と興味津々で覗き込んでいます。
発酵した生地を4等分にして、それぞれが好きな具材でピザを作ることに。妻はシーフードピザ、私はクワトロフォルマッジ(4種のチーズ)、子どもたちはそれぞれハムとコーン、ベーコンとマッシュルームを選びました。生地を伸ばす作業は意外と難しく、形が歪になったりしますが、それも含めて楽しみます。
オーブンでピザを焼いている間に、パスタを茹でます。アルデンテに茹で上げるタイミングが重要で、これは私の担当です。茹で上がったパスタにジェノベーゼソースを絡め、仕上げにパルメザンチーズをたっぷりと振りかけます。
カプレーゼサラダは、新鮮なモッツァレラチーズとトマト、バジルの葉を交互に並べ、オリーブオイルとバルサミコ酢をかけるだけの簡単な一品。見た目も鮮やかで食卓を彩ります。
全ての料理が完成し、テーブルに並べると、まるでイタリアンレストランのような雰囲気に。窓から差し込む午後の陽光が、テーブルの上の料理を優しく照らしています。「いただきます!」の声が揃って上がり、みんなで料理を取り分けます。
焼きたてのピザは、外はカリッと中はもちもちの絶妙な食感。自家製トマトソースの酸味と具材の旨味が見事にマッチしています。ジェノベーゼパスタは、バジルの爽やかな香りとチーズのコクが絶妙なバランス。カプレーゼサラダは、新鮮な野菜とチーズの味わいが口の中で広がります。
食事の間は、学校での出来事や最近のニュースなど、様々な話題で会話が弾みます。普段なかなか聞けない子どもたちの本音も、こういう時間だからこそ自然と出てくるように感じます。
デザートには、イタリアンらしくティラミスを用意しました。これは前日に作っておいたもので、コーヒーの香りとマスカルポーネチーズのクリーミーな味わいが、満足感たっぷりの食事の締めくくりにぴったりです。
食後は、みんなで片付けをします。食器を洗う人、拭く人、しまう人と役割分担をして、キッチンをきれいに整えます。この片付けの時間も、家族の会話と笑顔が絶えません。
このイタリアン料理パーティーを始めてから、家族の絆が一層深まったように感じます。料理を通じて、協力することの大切さ、作る喜び、そして何より一緒に食事を楽しむことの素晴らしさを、子どもたちも実感しているようです。
次回は何を作ろうか、もう計画を立て始めている子どもたち。「今度はラザニアを作りたい!」「ジェラートも作ってみたい!」と、次回への期待で目を輝かせています。
イタリアン料理には、家族や友人と一緒に楽しむ文化が根付いています。その精神を我が家でも大切にしながら、これからも月に一度のイタリアン料理パーティーを続けていきたいと思います。美味しい料理と、かけがえのない時間を共有できる幸せを噛みしめながら、私たち家族の小さな伝統は続いていくことでしょう。
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