週末の早朝、私たち家族は久しぶりのキャンプに向けて車を走らせていました。助手席では妻が持参した食材のリストを確認し、後部座席では小学生の娘と中学生の息子が、これから始まる野外での冒険に胸を躍らせています。天気予報では快晴とのことで、絶好のキャンプ日和になりそうでした。
キャンプ場に到着すると、まずはテントの設営から始めることに。息子は前回のキャンプで覚えた手順を思い出しながら、私の指示を待たずに支柱を組み立て始めました。娘も小さな手でペグを打ち込もうと一生懸命です。妻はテントの中に敷くシートやマットを広げ、家族それぞれが役割を持って準備を進めていきます。
設営が終わると、いよいよ昼食の準備です。今回は特別に、ダッチオーブンを新調して持ってきました。妻が下ごしらえしてきた野菜とお肉を使って、じっくりと煮込んだシチューを作ることにしました。火起こしは息子の担当です。前回は苦戦していましたが、今回は動画で勉強してきたようで、手際よく炭に火をつけることができました。
ダッチオーブンに具材を入れ、蓋を閉めると、あとは炭火の熱で時間をかけてじっくりと調理します。その間、私たちは近くの小川で水遊びを楽しみました。娘は小さな魚を見つけては歓声を上げ、息子は石を投げて水面に波紋を作って遊んでいます。妻は岸辺で本を読みながら、時々子どもたちの様子を見守っています。
1時間ほど経過し、シチューの香りが漂い始めました。蓋を開けると、野菜がトロリと柔らかく煮込まれ、お肉もジューシーに仕上がっています。家族全員でテーブルを囲み、できたての料理に舌鼓を打ちます。普段の食事とは違う、薪の香りが移ったシチューは格別な味わいでした。
午後からは、家族でハイキングに出かけることにしました。キャンプ場から続く遊歩道は、緑のトンネルのように木々が生い茂っています。途中で見つけた珍しい植物や昆虫に、子どもたちは興味津々。スマートフォンで写真を撮りながら、自然観察を楽しみました。
夕方になり、キャンプサイトに戻ると夕食の準備です。今度は家族みんなで協力して、バーベキューを始めることにしました。息子が火おこしを、娘が野菜を洗う係を担当します。妻は肉の下味付けを、私は網の準備をしながら炭火の加減を見ています。
焼きあがった食材を、みんなで分け合って食べます。炭火で焼いた野菜の甘みと、ジューシーな肉の味わいに、会話も自然と弾みます。学校であった出来事や、仕事の話、将来の夢など、普段の食卓ではなかなか話せないような話題まで、時間を忘れて語り合いました。
食事の後は、キャンプファイヤーを囲んでマシュマロを焼きます。真っ白なマシュマロが、炎の熱でじわじわと茶色く変化していく様子を、子どもたちは目を輝かせて見つめています。外はカリッと、中はトロッとした食感のマシュマロは、夜のデザートとして最高でした。
夜が更けてくると、街中では見られないような満天の星空が広がりました。息子は事前に調べてきた星座を指さしながら、妹に説明しています。流れ星を見つけた娘は、すかさず願い事をしていました。テント内に敷いたマットの上で横になり、家族で星空を眺めながら過ごす時間は、かけがえのない思い出となりました。
就寝前、テントの中で寝袋に潜り込みながら、今日一日の出来事を振り返ります。自然の中で過ごす時間は、普段の生活では味わえない新鮮な体験の連続でした。子どもたちは疲れて早々と寝息を立て始め、妻も本を読みながらうとうとし始めています。
翌朝、鳥のさえずりで目を覚ますと、すでに朝日が昇り始めていました。朝もやの中、テントから顔を出すと、新鮮な空気が肺いっぱいに広がります。朝食は簡単に、カセットコンロでホットサンドを作ることにしました。チーズがとろけ、ハムの香ばしい匂いが漂う中、家族で最後の食事を楽しみます。
片付けは全員で手分けして行い、テントを解体し、ゴミを分別して持ち帰る準備をします。キャンプ場を後にする時、子どもたちは「また来たい!」と声を上げました。車に乗り込んで家路につきながら、この1泊2日で得られた家族との絆を、私たちは強く実感していました。
日常を離れ、自然の中で過ごした時間は、私たち家族にとって特別な思い出となりました。料理を作り、食事を共にし、星空を眺める。そんな何気ない時間の積み重ねが、かけがえのない家族の絆を育んでいくのだと感じています。次回のキャンプでは、また新しい料理に挑戦したり、違う場所を探検したりと、家族での新たな冒険が待っているはずです。そう考えると、早くも次回のキャンプが待ち遠しく感じられるのでした。
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