
金曜の夜8時、駅前の雑居ビル3階。階段を上がる途中からもうキムチの匂いがしてた。
友達5人で集まるって話になったのは先週の木曜日だったかな。LINEグループで「久しぶりに会おうよ」って誰かが言い出して、じゃあどこ行く?ってなって、私が「新大久保に新しくできた店があるらしいよ」って提案したら即決まった。ノリって大事。予約なしで行ったから30分くらい待ったんだけど、その間にコンビニでビール買って路上で飲んでたら店員さんに怒られて。まあそれも含めて楽しかったというか。
店に入ったらもう熱気がすごくて、テーブルの上には赤い鍋がグツグツ煮えてる。隣の席では大学生っぽいグループが「うわ辛っ!」って叫びながら笑ってて、こっちまでテンション上がってくる感じ。メニュー開いたらチーズタッカルビとかスンドゥブチゲとか、見てるだけでヨダレ出そうなやつばっかり。「これ全部頼もうぜ」って誰かが言って、気づいたら7品くらい注文してた。
ここで問題が一つ。友達の一人、リョウタが実は辛いもの全然ダメなやつで。彼、この日まで黙ってたんだよね。料理が運ばれてきて、真っ赤なスープ見た瞬間に顔が青ざめてて、「あ、やべ」って思った。「大丈夫?」って聞いたら「いや…まあ…」って歯切れ悪い返事。空気読んで我慢するタイプなんだよね、彼。
そういえば中学の時、修学旅行で京都行ったときもリョウタは八つ橋が苦手で黙って我慢してたっけ…って、今それ関係ないか。
とにかく料理が次々運ばれてきて、テーブルがあっという間に埋まった。チーズタッカルビは予想以上にチーズがトロトロで、スマホ構えて写真撮る女子が二人。「インスタ映え〜」とか言いながらシャッター切ってる間に、私はもう箸を伸ばしてた。熱々の鶏肉にチーズ絡めて口に入れた瞬間、幸せってこういうことだよなって本気で思う。辛さは…まあ、ちょっとピリッとするくらい? 私の感覚だと全然いける範囲。
でもリョウタの箸は全然進んでなくて。見かねた友達のアヤカが「ねえ、白米追加で頼もうよ」って提案してくれて、店員さんに「ご飯大盛り2つください!」って叫んだ。店内うるさいから、注文するときマジで叫ばないと聞こえないんだよね、この店。
スンドゥブチゲが来たときは湯気と一緒に唐辛子の香りがブワッと広がって、目の前にいた友達が「うおっ」ってのけぞってた。赤いスープの表面に油が浮いてて、その下に豆腐と貝がゴロゴロ入ってる。一口すくって食べたら、舌がピリピリして、でもそのあと旨味がじわっと来る感じ。これ、癖になるやつ。
リョウタは結局、白米とサンチュだけでほぼ凌いでた。たまに勇気出して一口だけチャレンジして、水ガブ飲みしてる姿が面白くて、みんなで笑った。本人も笑ってたから、まあ良かったんだと思う。「次は焼肉にしようぜ」ってリョウタが言ったとき、みんな「おう!」って即答したけど。
ビール何杯飲んだか覚えてない。気づいたら3時間くらい経ってて、店員さんが「ラストオーダーです」って声かけに来た。最後にチヂミ頼んで、カリカリの端っこを取り合いながら食べて、お会計は一人3500円くらい。安くない? って全員で驚いた。
帰り道、駅まで歩きながらリョウタが「辛かったけど楽しかったわ」ってボソッと言ってて。うん、それでいいんだよって思った。完璧な夜じゃなくても、誰かが我慢してても、ワイワイガヤガヤ笑ってたらそれで十分というか。
また来週も集まろうぜって話になってるけど、次はリョウタの希望で焼肉らしい。まあ、それもいいかなって。

コメント