
去年の夏、長男が「カレーじゃなくてパエリア作ろうよ」って言い出したときは本気で焦った。
キャンプ場で料理するときって、なんだかんだで結局同じメニューに落ち着いちゃうんだよね。うちの場合は初日がバーベキュー、二日目の朝が焼きそば、夜がカレー。これ、もう5年くらい変わってない。妻は「せっかく自然の中にいるんだから、もっと凝ったもの作ろうよ」って毎回言うんだけど、実際にキャンプ場着いてテント設営して、薪割って火起こしてってやってると、もう複雑な料理する気力なんて残ってないわけ。
パエリアの件に戻ると、長男のあの提案、聞いた瞬間「お前、パエリア鍋持ってんのか」って心の中でツッコんだ。案の定、スマホで「キャンプ パエリア 簡単」とか検索し始めて、「フライパンでもできるって」とか言ってる。できるかもしれないけどさ…。
結局その日は妥協案として「シーフードカレー」になった。エビとイカを追加しただけなんだけど、長男は満足そうだったから、まあよかった。
実は私、独身時代にソロキャンプにハマってた時期があって。あの頃は凝った料理作ってたんだよ。ダッチオーブンでローストチキン焼いたり、スキレットでアヒージョ作ったり。インスタ映えとか意識してないけど、一人で黙々と料理するのが楽しかったんだよね。静かな森の中、焚き火の前で玉ねぎ刻んでるときの、あの妙な充実感。煙の匂いが服に染み付いて、帰りの電車で周りの人に「あ、この人キャンプ帰りだ」ってバレるのも、なんか誇らしかった。
でも家族でキャンプするようになってから、料理に対する考え方が完全に変わった。
子どもたちが小さかった頃は特に大変で。火の近くに寄ってこようとする次男を抱えながら、片手で野菜切ったりしてた。長女は「お手伝いする」って言いながら、実際には調味料のボトルで遊んでるだけ。妻は妻で「写真撮らせて」って言いながらスマホ構えてる。あの状況で凝った料理なんて、無理ゲーすぎる。
キャンプ用品店の「フィールドマスター」って店に行くと、いつも調理器具コーナーでため息が出る。ガスバーナー、ダッチオーブン、燻製器、ホットサンドメーカー…。どれも魅力的なんだけど、実際に使うのって年に2、3回。そのために何千円も出すのか、って。
今年の春キャンプでは、朝ごはんにホットドッグを作った。ソーセージ焼いて、パンに挟むだけ。これが意外と子どもたちに大ウケで。「今までで一番美味しい」とか言われて、正直複雑だった。あんなに頑張って作ったカレーより、ホットドッグかよ、って。
料理の準備も面倒だけど、後片付けがもっと面倒なんだよね。キャンプ場の炊事場、だいたい混んでるし。油でギトギトの鍋とか、カレーこびりついた皿とか、冷たい水で洗うのって本当にしんどい。夜の8時過ぎ、暗い炊事場で皿洗いしながら「なんで休日にこんなことやってんだろ」って思う瞬間、絶対ある。
最近気づいたんだけど、キャンプの料理って「美味しさ」より「体験」なんだよね。火起こしから始まって、煙に目を細めながら肉焼いて、ちょっと焦げても「これがキャンプの味だよね」って笑い合う。その過程全部が思い出になる。だから、メニューが毎回同じでも、別にいいのかもしれない。
長男は最近また新しいこと言い出してて。「次は燻製やりたい」だって。燻製器買わないとだし、準備に時間かかるし、また新しい沼が…。
まあ、考えとくわ。

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