家族キャンプで料理がうまくいかない日は、むしろ思い出になる

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焚き火の前でフライパンを振りながら、ふと気づいた。これ、全然うまくいってないな、と。

家族でキャンプに行くようになって3年目。最初の頃は張り切ってレシピ本まで買い込んで、ダッチオーブンだの燻製だの、やたらと凝った料理を作ろうとしていた。でも今思えば、あの頃が一番失敗ばかりしていたかもしれない。去年の夏なんて、鶏肉のトマト煮込みを作ろうとして火加減を間違えて、外側だけ真っ黒、中は生焼けっていう謎の物体を生み出してしまった。子どもたちは「パパの黒いやつ」って呼んでたけど。

料理って、家のキッチンとキャンプ場じゃ全然違う。ガスコンロのように火力調整ができないし、風が吹けば火が揺れるし、蚊は飛んでくるし、調味料忘れたことに気づくのは大体現地に着いてから。この前も醤油を持ってくるのを忘れて、近くのキャンプ場の売店まで買いに走ったんだけど、そこで売ってたのが妙に高級な「森の雫醤油」っていう地元ブランドのやつで、普段の倍くらいの値段した。まあ、美味しかったからいいんだけど。

キャンプ料理で大事なのって、完璧さじゃないと思う。むしろ、どれだけ適当にやれるか。

朝ごはんなんて、ホットサンドメーカーに適当に具材を挟んで焼くだけ。チーズとハム、前の晩の残りのソーセージ、ちぎったレタス。娘が「ケチャップ入れて」って言うから入れたら、焼いてる最中に溢れ出してきて焦げ臭い匂いが立ち込める。でもそれを「失敗」って思わなくなったのは、ここ最近のこと。息子が「この焦げたとこが美味しいんだよね」って言いながら食べてるのを見て、ああ、これでいいんだって腑に落ちた。

そういえば、料理とは関係ないんだけど、うちの妻は昔、学生時代にバンドをやっていたらしい。キーボード担当で、文化祭とかで演奏してたって。この話、キャンプ中の焚き火を囲んでるときに初めて聞いて、15年も一緒にいるのに知らなかったことがあるんだなって驚いた。人って面白い。

夜になると、本格的に焚き火料理の時間になる。串に刺したマシュマロを炙って、ビスケットで挟む。アメリカではスモアっていうらしいけど、うちでは「焦がしマシュマロサンド」って呼んでる。子どもたちはこれを作るのが大好きで、毎回必ず何本か火の中に落とす。そのたびに「あー!」って叫ぶんだけど、もう慣れた。落ちたマシュマロは諦めて、新しいのを刺せばいい。

キャンプ場の夜は早い。午後7時を過ぎると、もう周りは暗くなり始める。ランタンの明かりだけが頼りで、手元がよく見えない中で野菜を切ったりする。包丁を使うときはさすがに緊張するけど、この薄暗さが妙に落ち着く。都会の明るすぎる夜に慣れてしまうと、こういう暗さが新鮮に感じられる。

カレーを作るときは、もう何も考えない。玉ねぎを切って、肉を炒めて、水を入れて、ルーを溶かす。家で作るのと手順は同じなのに、なぜか味が違う。煙の匂いが混ざるからか、外で食べるからか、それとも家族みんなで作るからか。理由はわからないけど、キャンプ場のカレーは特別な味がする。

失敗したっていい。焦げたっていい。生焼けだったらもう一回焼けばいい。

料理を完璧にこなそうとしていた頃は、失敗するたびにイライラしていた。でも今は、失敗も含めて楽しめるようになった。というか、失敗した日の方がよく覚えてる。あの黒焦げの鶏肉も、今では笑い話だし、子どもたちもよく覚えてる。「パパ、また黒いやつ作ってよ」なんて冗談で言ってくるくらい。

キャンプでの料理は、味よりも過程が大事なのかもしれない。誰がどの作業を担当するか、火加減をどうするか、焦げそうになったときに誰が気づくか。そういう小さなやりとりの積み重ねが、記憶として残っていく。

次のキャンプでは何を作ろうか。また新しいレシピに挑戦してもいいし、定番のカレーでもいい。どっちにしても、きっと何かしら失敗するんだろうけど。

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