週末の午後、我が家のキッチンは、いつもより賑やかな空気に包まれていました。今日は月に一度の家族料理パーティー。今回のテーマは、みんなが大好きなイタリアン!私たち家族4人に加えて、義理の両親も参加する特別な日です。
キッチンカウンターには、新鮮な野菜やハーブが色とりどりに並び、まるで小さなイタリアの市場のよう。12歳の娘は早速エプロンを身につけ、「今日は何を作るの?」と目を輝かせています。8歳の息子も負けじと、「僕もお手伝いする!」と元気いっぱい。
まずは定番のトマトソースから始めることにしました。義母が持ってきてくれた完熟トマトを使って、じっくりと煮込んでいきます。玉ねぎをみじん切りにする息子、にんにくの皮をむく娘、それぞれが得意な作業を見つけて楽しそうに取り組んでいます。
「このトマトソース、実家の畑で採れたものよ」と義母が優しく微笑みかけます。畑で大切に育てられたトマトの甘みと酸味が、ソースの味を一段と引き立てることでしょう。義父は「昔、イタリアに行った時に食べたソースの味を思い出すなぁ」と、懐かしそうに話してくれます。
メインディッシュは、みんなで作るピザとラザニア。生地をこねる作業は、子どもたちの大好きな工程です。小麦粉を振りかけながら、こねて、伸ばして、時には失敗しながらも、笑顔の絶えない時間が流れていきます。
「パパ、見て!ハート型のピザ生地ができたよ!」娘の声に、みんなが振り返ります。確かにかわいいハート型。思わず写真を撮りたくなる出来栄えです。息子は丸い形を目指していましたが、少し歪んでしまい、「恐竜みたいになっちゃった」と笑っています。
トッピングは、それぞれの好みで自由に。モッツァレラチーズ、バジル、オリーブ、ハム、きのこ類など、具材を選ぶ時間も楽しいひとときです。義母は「私の若い頃は、こんな具材、手に入らなかったわねぇ」と感慨深げ。食材の豊かさに、改めて感謝の気持ちが湧いてきます。
ラザニアの層を重ねる作業は、まるでアートのよう。ホワイトソースとミートソースを交互に重ね、チーズをたっぷりと。子どもたちは真剣な表情で、慎重に具材を重ねていきます。
オーブンから漂う香ばしい匂いに、みんなの期待が高まります。待ち時間には、サラダの準備も。新鮮な野菜を洗い、切り、盛り付けていく中で、学校での出来事や仕事の話で会話が弾みます。
「私が子どもの頃は、こんな風に家族で料理することなんてなかったわ」と義母。「今の子どもたちは幸せね」という言葉に、現代ならではの家族の時間の大切さを実感します。
ついに完成した料理の数々。テーブルいっぱいに並べられた手作りイタリアンの前で、みんなの顔がほころびます。「いただきます!」の声が、いつもより少し大きく響きます。
最初の一口で、歓声が上がります。子どもたちが作ったピザは、見た目は少々ユニークですが、愛情たっぷりの味。ラザニアは、層の重なりが少し不揃いながらも、チーズの香り豊かな一品に仕上がりました。
「これ、おばあちゃんの畑のトマト使ってるの?すっごく美味しい!」娘の素直な感想に、義母の顔がパッと明るくなります。息子も「僕が切った玉ねぎ、上手く切れてるでしょ?」と得意げ。
デザートは、簡単なティラミス。マスカルポーネチーズとコーヒーの香りが、食事の締めくくりを優雅に演出します。子どもたちは、ココアパウダーを振りかける作業を担当。少し多めに振りかかってしまいましたが、それもまた愛らしい思い出です。
食事の後は、みんなでキッチンの片付け。普段は面倒な後片付けも、今日は特別。家族で協力しながら、楽しい思い出話に花を咲かせます。
「次は何を作ろうか?」という話題で、すでに次回の料理パーティーへの期待が高まっています。子どもたちからは「今度は和食がいい!」「フランス料理に挑戦してみたい!」とアイデアが次々と飛び出します。
この日の夕暮れ時、帰り支度をする義両親に、子どもたちが「また来てね!」と元気よく手を振ります。玄関先での別れ際、義母が「今日は本当に楽しかったわ」と、目を細めながら言ってくれました。
家族で料理を作り、食べる。それは単なる食事の時間ではなく、かけがえのない思い出を作る特別な機会。世代を超えて、料理を通じて心が通い合う、そんな温かな時間を過ごせることに、深い幸せを感じた一日でした。
キッチンに残る香りと、テーブルに散らばったココアパウダーの跡。それらは全て、今日という素敵な思い出のかけらです。次の料理パーティーまで、この幸せな気持ちを大切に持ち続けたいと思います。
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