週末の午後、我が家のリビングには賑やかな笑い声が響き渡っていました。今日は久しぶりの家族全員集合の日。みんなでイタリアン料理を作って楽しもうという企画が実現したのです。
私の両親、妹家族、そして私たち夫婦と子どもたち。総勢10人が集まって、台所は既にお祭り騒ぎ。エプロン姿の家族たちが、まるでプロの料理人のように真剣な表情で食材と向き合っています。
「ママ、私もピザ生地こねたい！」長女の声に、台所にいた大人たちの顔がほころびます。祖母が優しく手ほどきをしながら、小麦粉をこねる手つきを教えています。白い粉が舞い上がり、みんなの頬や髪に付いて、笑いが起きます。
メインディッシュは手作りピザとパスタ。具材は前日から私と母で市場に行って、新鮮な野菜やチーズ、イタリアンハム類を吟味して選んできました。トマトは完熟の真っ赤なものを、モッツァレラチーズは水牛のミルクで作られた本場イタリアものを。素材にこだわることで、家庭でも本格的なイタリアンの味が楽しめるんです。
「パパ、ソースの味見して！」妹が作るトマトソースの香りが台所中に広がります。彼女は料理教室に通っていて、本格的なイタリアンソースの作り方を学んできたそうです。玉ねぎをじっくりと炒めて、甘みを引き出し、そこにニンニクとバジルの香りを加える。最後にトマトの酸味と甘みのバランスを整えて、完璧な一皿に仕上げていきます。
子どもたちは自分専用のミニピザを作ることに夢中です。生地を丸く伸ばすのは難しいようで、いびつな形になってしまいますが、それもまた愛らしい。トッピングは好きなものを自由に選べるようにしたので、ありえない組み合わせも続出。でも、そんな創造的な料理も家族の集まりならではの楽しみ方です。
祖父は昔、イタリアに仕事で駐在していた経験があり、本場のレストランで食べた思い出話を聞かせてくれます。ナポリのピッツェリアで食べた極薄のマルゲリータピザの味は今でも忘れられないそうです。その話を聞きながら、私たちも本場の味に少しでも近づけようと、より一層気合いが入ります。
パスタ作りでは、父が得意のカルボナーラに挑戦。生クリームは使わず、卵黄とペコリーノロマーノチーズだけで作る本格派です。「これはね、乳化が重要なんだ」と、熱々のパスタに卵を絡める時の温度管理を細かく説明してくれます。
そうこうしているうちに、オーブンからはピザの香ばしい香りが漂い始めます。チーズが溶けて、こんがりと焼き色がついた生地は、まさにプロ顔負けの仕上がり。みんなで「おお～！」と歓声を上げながら、出来上がりに満足げな表情を浮かべています。
食卓には手作りのイタリアン料理が所狭しと並びます。ピザ、パスタに加えて、前菜の生ハムとルッコラのサラダ、モッツァレラのカプレーゼ、そして白ワインで蒸したあさりのボンゴレも。見た目も鮮やかで、まるでイタリアンレストランのような雰囲気です。
「いただきます！」の声と共に、みんなで料理を取り分け始めます。子どもたちは自分で作ったピザを得意げに紹介し、大人たちは各々の料理の感想を述べ合います。会話が弾み、笑顔があふれる食卓。これこそが、家族で料理を作る醍醐味なのでしょう。
デザートには、母特製のティラミスが登場。前日から準備していたそうで、コーヒーの香りとマスカルポーネチーズのなめらかな口当たりが絶妙です。「これ、レシピ教えて！」と妹が即座にスマートフォンでメモを取り始めました。
食事の後は、みんなでソファに座って、今日作った料理の写真を見返したり、次は何を作ろうかと計画を立てたり。子どもたちは祖父母に甘えて、すっかりリラックスムード。こうして過ごす時間が、かけがえのない思い出になっていきます。
料理を通じて家族の絆が深まる。それは単に美味しいものを食べるだけでなく、一緒に作る過程で生まれる会話や笑顔、そして達成感を共有できる素晴らしい機会なのです。
片付けも全員で手分けして行い、あっという間に終了。「次はいつやる？」「今度は和食にしない？」と、既に次回の企画が持ち上がっています。こうして、我が家の料理パーティーは新たな家族の伝統として根付いていきそうです。
夕暮れ時、家族が次々と帰路につく頃。今日の思い出を胸に、また次に会える日を楽しみに、笑顔で手を振り合いました。台所に残った料理の香りと、温かな空気が、幸せなひとときの余韻を静かに伝えています。
家族で作るイタリアン料理。それは単なる食事以上の、かけがえのない時間を生み出す魔法のような存在なのかもしれません。これからも、こんな素敵な集まりを重ねていけたらいいな。そんな思いを胸に、私は今日の記憶を大切な思い出として心に刻むのでした。
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