
先週の金曜、久しぶりに大学時代の友達5人で集まった。
場所は駅前にできた韓国料理の店で、店名が「ハルモニの台所」とかそういう感じのやつ。予約した時点では「久しぶりだしゆっくり話そうね」なんて言ってたのに、実際に会ってみたら開始10分でもうワイワイガヤガヤ。人間の記憶なんてあてにならない。
テーブルに運ばれてきたのはチゲ鍋とチヂミと、あとサムギョプサルのセット。最初の一口を食べた瞬間、友達のユカが「うわ、ちょっと辛い」って言いながら水を一気飲みしてた。でもその5分後にはもう箸が止まらなくなってるんだから、辛さって不思議なもんだよね。痛いのに美味しい。人間の味覚はどこかバグってる。
ところで韓国料理を食べるときの友達って、普段と違うキャラになる気がしてる。いつもは物静かなサトシが突然「俺、包むの得意なんだよね」とか言い出してサンチュにご飯と肉を器用に包み始めるし、几帳面なはずのアイが取り皿の上でキムチとナムルをぐちゃぐちゃに混ぜてる。私も多分、普段より声が大きくなってた。店内に響く鍋のグツグツという音と、隣のテーブルから聞こえる笑い声と、換気扇の音。全部が混ざり合って、なんだか祭りみたいな空気になる。
鍋を囲むと自然と距離が近くなるのも面白い。丸いテーブルの真ん中に火があって、みんなが同じ鍋を箸でつついて、誰かが「あ、これ美味しいよ」って言ったら全員が同じ具材を狙う。豆腐の取り合いで箸が絡まったりして。そういう瞬間に、ああこの人たちとは気を遣わなくていいんだなって思う。
途中でマキが「そういえばさ」って話し始めたのは、去年の夏に行った海の話だった。韓国料理と全然関係ない。でもそういう脱線が許されるのがこういう場の良いところで、気づいたら全員が「あの時のクラゲやばかったよね」とか「日焼け止め塗り忘れて背中が真っ赤になった」とか言い合ってる。鍋の火はずっとグツグツ言ってるのに、誰も具材を追加しない。
ふと時計を見たら夜の9時を回ってた。入店したのが7時だから、もう2時間も経ってる。でも全然そんな感じがしなくて、むしろまだ30分くらいしか経ってない気さえする。辛い料理を食べると時間の感覚がおかしくなるのか、それとも楽しい時間は早く過ぎるっていうあの法則なのか。
会計のとき、レジの近くに置いてあった飴を全員でひとつずつもらった。ミント味。辛さで痺れた舌に染みる。外に出ると、店の中とは違ってひんやりした空気が頬に当たって、ああ春先の夜ってこんな感じだったなって思い出す。駅までの道をダラダラ歩きながら、誰かが「次はいつにする?」って聞いて、誰も明確な答えを出さないまま、じゃあねって手を振って別れた。
家に帰ってシャワーを浴びたら、髪の毛から焼肉の匂いがした。服にも染み付いてる。洗濯カゴに放り込みながら、今日の夜のことを思い返してみる。特別なことは何もしてない。ただ料理を食べて、くだらない話をして、笑っただけ。
でもこういう時間が一番記憶に残るんだよね、きっと。

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