二人きりの夜に作る料理は、いつもより少しだけ丁寧になる

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冷蔵庫を開けたとき、今夜は外に出たくないなって思った。

窓の外は真っ暗で、風の音だけが聞こえてる。こういう夜は、誰にも邪魔されずに家にいたい。彼も同じことを考えていたみたいで、「今日は家で食べよう」って言ってきた。スマホでデリバリーを探そうとしたんだけど、なんとなく画面を閉じた。今夜は自分たちで何か作りたい気分だった。

料理なんて普段はそんなに凝ったことしないんだけど、二人きりの静かな夜だと不思議と手をかけたくなる。レシピサイトを見ながら何を作るか相談して、結局パスタにすることにした。トマトソースのやつ。ニンニクを刻む音がキッチンに響いて、オリーブオイルが温まる匂いがしてくると、なんだか特別な時間が始まる感じがする。

彼が野菜を切ってる横で、私はパスタを茹でる準備をしてた。普段なら適当に済ませるところを、今夜はちゃんと塩加減を確認したり、茹で時間をタイマーで測ったりしてる自分がいる。

そういえば前に一度、夜中にお腹が空いて二人でカップラーメン食べたことがあったな。あのときは確か夏で、クーラーの効いた部屋で汗だくになりながら食べた記憶がある。なんであんなに暑かったんだろう。窓を開けたら虫が入ってくるから閉めてたんだっけ。あれはあれで楽しかったけど、今夜みたいな静かな時間とはまた違う。

フライパンでニンニクとオリーブオイルを熱してると、部屋中にいい匂いが広がってくる。トマトソースを入れたら、ジュワッていう音と一緒に湯気が立ち上がった。彼が「美味しそう」って後ろから覗き込んできて、少し邪魔だったけど嬉しかった。こういう何気ないやり取りが、外食じゃ味わえないものなんだよね。

テーブルにお皿を並べて、キャンドルを灯そうかとも思ったけど、それはさすがにやりすぎな気がしてやめた。代わりに照明を少し暗くして、スマホで静かな音楽を流す。何の曲だったかもう覚えてないけど、ジャズっぽい感じのやつ。

パスタを取り分けながら、「レストランみたいだね」って彼が笑った。全然そんなことないんだけど、確かにいつもよりちょっとだけ特別な感じはする。フォークでパスタを巻いて口に運ぶと、トマトの酸味とニンニクの香りが口の中に広がった。思ったより美味しくできてて、少し驚いた。

食べながら、今日あったどうでもいい話をする。職場の人のこと、見たテレビのこと、明日の予定のこと。特別な会話じゃないけど、こういう時間が一番落ち着く。外のレストランだと、どこか「ちゃんとしなきゃ」って気持ちが働くけど、家だとそういうのがない。

お皿が空になって、ワインのボトルも半分くらいになった頃、窓の外の風がまた強くなった。

二人で片付けをして、キッチンがきれいになると、なんだか満足感がある。洗い物をしながら、「また作ろうね」って彼が言った。私は「うん」とだけ答えた。次はいつになるかわからないけど、きっとまた静かな夜が来たら、こうやって二人で料理を作るんだと思う。

別に毎日じゃなくていい。たまに、こういう夜があればそれでいいんだ。

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