
春の柔らかな陽射しが差し込む土曜日の朝、私たち家族は待ちに待ったキャンプに出発しました。車に積み込んだキャンプ道具の中で、特に念入りに準備したのが調理器具です。なぜなら、キャンプでの料理タイムこそが、家族の絆を深める最高の機会だと気づいたからです。
キャンプ場に到着すると、まず子どもたちと一緒にテントを設営します。10歳の息子と8歳の娘は、毎回この作業を楽しみにしています。ポールを組み立て、ペグを打ち込む作業は、まるで大きな積み木で遊んでいるかのよう。二人の真剣な表情を見ていると、こんな些細な作業でも、子どもたちの成長の糧になっているのだと実感します。
テント設営が終わると、いよいよ私たち家族の一番の楽しみ、キャンプ料理の時間です。今回は特別に、ダッチオーブンを使った本格的な料理に挑戦することにしました。最近のキャンプブームで、ダッチオーブン料理の人気が高まっていますが、実は初心者でも意外と簡単に作れるんです。
まずは火起こしから。薪を組み、着火剤を使って火を起こしていきます。息子は火起こしの達人になりつつあり、今では私の指示がなくても手際よく作業を進められるようになりました。娘は安全な距離を保ちながら、薪を運ぶ係として一生懸命お手伝い。この火起こしの過程で、自然と家族の会話が弾みます。
今回のメインディッシュは、ダッチオーブンで作るローストチキン。下準備として、鶏肉に塩コショウとハーブをまぶし、野菜と一緒にダッチオーブンへ投入。炭火の配置を調整しながら、じっくりと焼き上げていきます。子どもたちは時々ダッチオーブンの蓋を開けて様子を確認することを担当。料理の変化を観察する度に、歓声を上げています。
調理の合間には、近くの小川で水遊びを楽しんだり、虫取りに夢中になったりと、自然との触れ合いも大切にしています。都会では味わえない体験が、子どもたちの好奇心を刺激します。時には小さな発見に驚いたり、ちょっとした困難に直面したりしますが、それも含めて貴重な経験になっているはずです。
約1時間後、ダッチオーブンから立ち上る香ばしい匂いに誘われるように、家族全員の期待が高まります。蓋を開けると、こんがりと焼き上がったローストチキンが顔を出しました。野菜の甘みと肉汁が絡み合い、思わず笑みがこぼれる出来栄えです。
食事の準備をしながら、私は改めてキャンプ料理の素晴らしさを実感します。普段の家庭料理とは違い、家族全員が準備から片付けまで参加できる。その過程で自然と協力が生まれ、コミュニケーションが深まっていくんです。
テーブルを囲んで、いただきます。外の空気の中で食べる料理は格別です。子どもたちは「パパのローストチキン、最高!」と満面の笑みで食べています。妻も「家で作るより断然おいしいわね」と、うれしそうな表情。この瞬間こそ、キャンプの醍醐味だと感じます。
食事の後は、家族でキャンプファイヤーを囲みます。炎を見つめながら、今日一日の出来事や、明日の予定について語り合います。普段の生活では気づかない子どもたちの新しい一面を発見したり、家族の夢を共有したり。静かな夜の空気の中で、家族の絆がさらに深まっていくのを感じます。
就寝前には、明日の朝食の準備も済ませます。キャンプでの朝食は、新鮮な空気と共に迎える特別な時間。簡単なホットサンドやスクランブルエッグでも、格別な味わいになるんです。子どもたちは既に明日の朝食を楽しみにしている様子で、寝袋に入ってからも話が尽きません。
テントの中で横になりながら、私は今日一日を振り返ります。キャンプ料理を通じて、家族それぞれが役割を持ち、協力し合う。その過程で自然と生まれる会話や笑顔。これこそが、私たち家族にとってのかけがえのない思い出となっているのです。
キャンプ料理は決して難しくありません。必要なのは、家族で過ごす時間を大切にする気持ちと、ちょっとした冒険心だけ。初めは簡単な料理から始めて、徐々にレパートリーを増やしていけばいいのです。失敗も含めて、それが楽しい思い出になります。
次回は子どもたちからリクエストのあった手作りピザに挑戦する予定です。生地から作るのは少し大変かもしれませんが、きっと新しい発見や楽しみが待っているはず。そうやって少しずつ挑戦を重ねることで、家族の絆はより一層深まっていくのだと信じています。
キャンプ料理は、単なる野外での調理活動ではありません。それは家族で協力し、共に時間を過ごし、思い出を作る特別な機会なのです。都会の喧騒を離れ、自然の中で過ごす時間は、かけがえのない家族の宝物となっていくことでしょう。

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